最近は、転職に対する考え方が昔に比べて大分変ってきています。
ひと昔前までは、一度会社に就職したら定年まで勤め上げるのが一般的でした。
真面目に働いていたら会社が一生を保証してくれましたので、社員同士には家族のような繋がりがありました。
また、当時は景気が良かったこともあり、社員旅行のある会社が今よりずっと多かったです。
しかし、今ではそういった光景はほとんど見られなくなりました。
社員は会社と雇用契約を交わして仕事をしているだけで、労働力を売って対価を得るという意識が強くなりました。
最近では社畜という言葉があるように、昔のような愛社精神を社員に求めておきながら賃金を削減したりするズル賢い経営をする会社すらあります。
一方、明確なキャリアプランや目標を立て資格取得や市場価値を武器に転職活動を行い、ブラック企業すらも踏み台にしていく社員もいます。
経験者のみを採用して社員の教育費を削減したり、高額な報酬でベテラン経験者を雇い会社の成長エンジンにするなど、会社と社員とがウインウインの関係にになっている企業もあります。
転職活動があることで、良い企業には良い人材が集まり悪い企業にはそれなりの人材が揃うので、労働市場は整理、浄化されていきます。
このように、転職活動を上手く活用することでその良い面を引き出すことが出来るのです。
とはいえ、転職活動は労働者と会社との双方にとってリスクです。
そこで今回は転職する前に考えてもらいたいことについて紹介していきたいと思います。
目次
労働者のリスク
労働者のリスクとしては、収入が一時的になくなるということが挙げられます。
転職活動をする場合、転職先を決めてから現職を退職するのが原則ですが、在職時は時間的な制約があるので会社を辞めてから転職活動をすることもあります。
退職した後は無収入になるうえ、再就職先を見つける為に何社も回らなければならないので、交通費などの就職活動費がかかります。
さらに国民年金や住民税などを支払わなければならず、前職でそれらを給与天引きにしていた人は突然高額な請求書が自宅に届いたりします。
年齢が若いまたは同じ仕事を何年も経験してきた人など、自らの市場価値に自信がある人以外は在職中に転職先を決めた方が良さそうです。
また、会社を退職した履歴は生涯残る為、転職は慎重に行わなくてはなりません。
いくら市場価値が高くても転職回数が多すぎる場合は書類選考などで不利になることがあります。
会社のリスク
リスクを背負うのは会社も同じです。
前職で付き合いがあったなど特別な事情がない限り、採用面接に来る人の詳細な情報は誰にもわかりません。
履歴書、職務経歴書、試験、資格証などで人物を判断するしかないのです。
そのうえ、履歴書や面接で答えた内容がどこまで本当なのかは誰にもわからないのが実情です。
せっかく内定を出しても必ず入社するとは限りませんし、採用後に仕事をさせてみたら致命的な問題を抱えている人であることが判明する場合もあります。
たとえ優秀な人材であっても会社に定着するとは限りません。
優秀であるがゆえにより良い会社が見つかると短期間で転職してしまうかもしれないからです。
それでも採用した以上は、余程のことがない限り会社は報酬を支払わなければなりません。
転職エージェントで募集している会社は、転職が決まる度に高額な報奨金を支払っています。
転職活動はキャリアアップなど人生を変えるチャンスでもありますが、同時にハイリスクでもあります。
実際に活動を始める前にまずは転職することが適切であるかをよく考えてみましょう。
今の会社の良いところを探してみる
実際の転職理由の多くは今の会社への不満です。
不満を抱えているとつい感情的になってしまい、本当の問題点が見えにくくなります。
まずは今の会社の良いところを探してみます。
欠点だらけの会社かもしれませんが、他の会社には無い良い側面が見えてくるかもしれません。
転職した場合、それらを失うことも考えておかなくてはなりません。
転職して問題が解決されるかを考える
つぎに、転職によって何の問題が解決できるのか考えてみましょう。
考えても分からないことはインターネットなどで調べます。
転職の口コミサイトや求人情報サイトに登録して、同業他社の情報を参考にするのもひとつの方法です。
その結果、今の会社の問題が業界特有であったり一時的であったりする場合は、転職して解決する可能性はほとんど無いでしょう。
市場規模の縮小などがそれです。
しかし、他社とは明らかに違う問題点が今の会社に存在していれば、転職して解決する可能性が高いと言えます。
社風が問題の原因になっている場合などです。
今の会社で出来ることを考えてみる
転職活動は基本的にハイリスクであり、いちど会社を退職すると後戻りができません。
また、どんなに良い会社でも大なり小なり何らかの問題を抱えている場合がほとんどです。
転職活動に踏み切る前に、今の会社の中で出来ることを考えてみましょう。
結果的に転職活動をしたとしても後悔しないはずです。
幾つか例を挙げてみますので、参考にしてみてください。
給料が上がらない
相談できそうな同僚や信頼できる上司などに相談してみましょう。
何か良い情報が得られるかもしれません。
昇給の条件を確認してみることも大切です。
資格や経験などの条件をクリアすると急に昇給するケースもあります。
社内の対人関係が悪い
対人関係の問題はどんな会社にもありますが、泥沼化し易い問題ですので極力関わらない様にします。
下手に深入りしたりするとこちらが加害者の様に扱われてしまうことがありますので、感情を抑えて事務的に接する様に心がけましょう。
自分は仕事にしか興味が無い、という態度で接するのもひとつの方法です。
仕事が面白くない
他にやりたい仕事が無ければ、まずはその仕事に徹してみることです。
仕事に精通するとどんな仕事も楽しくなったりします。
仕事は仕事と割り切って、プライベートを充実させてみるのも良いでしょう。
能力、個性、資格を生かせなかった
直属の上司などに本来の自分の希望を伝えてみましょう。
希望が通れば問題解決です。
ただし希望する部署に配属されたからには責任が伴いますので、よく考えてから希望を伝えましょう。
会社に対して求めすぎるとかえって肩身が狭くなることがあります。
同じ環境の同僚などに相談して情報収集をするのも良いです。
家庭の事情
まずは会社の制度を確認してみましょう。
育児などの場合は育児休暇等の制度です。
介護の場合は、社内の配置転換など人事異動を申し出ることも手段です。
結婚の場合は引っ越し先によって状況が限られてしましますが、本社あるいは支社配属を願い出るという方法があります。
会社を辞めると収入が無くなるうえ、家庭の事情を抱えたままの転職は難しくなる可能性がありますので、転職は慎重に考える必要があります。
他にも転職の動機となる理由はたくさんあると思いますが、まずは転職活動を始める前に現状で出来ることがないかを確認してみましょう。
まとめ
今よりも良い条件で働こうと思ったとき転職活動をすることは解決策の一つですが、転職活動にはさまざまなリスクを伴います。
さらに、今の会社を退職したら後戻りができません。
転職活動を始める前に、次の3点について考えてみましょう。
1.今の会社の良いところは?
2.転職して解決される問題は?
3.今の会社で出来ることは?
考えた結果、どうしても今の会社にいることが難しいと感じたときには、転職活動を始めましょう。
ご覧いただいた方に少しでも有益な情報になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
次回更新もよろしくお願いします。